成年後見開始の審判申立て 【法定後見】
「成年後見」は、精神上の障害の為、本人が一人で日常生活をすることができない等、判断能力が全くない人のための制度です。後見開始の審判とともに、本人(「成年被後見人」といいます。)を援助する人として成年後見人が選任されます。
このような人は、自分で契約などをすると不利益を被るおそれが高く、また生活や介護に必要な手配ができません。
成年後見人を付けて、本人がした取引行為は取り消すことができるものとし、成年後見人が本人に代わって契約等を行う事ができるようにしたのが「成年後見」の制度です。
また、現行法では、複数の後見人を選任できることを明確に認めています。
複数の成年後見人等を選任する場合には、家庭裁判所は、その職務の分担を決めたり、共同して権限を行使することを決めることもできますが、実務上は、分担等の決定をせず、成年後見人等の協議による内部的な分担に任せている例が多いようです。この場合、法律上各成年後見人は、それぞれ後見人として全面的な責任を負います。
成年後見人は、申立ての契機となったことのみをすれば良いものではなく、成年後見人は、本人のために様々な義務を広く負うことになり、通常、本人が亡くなるまでこの義務は続きます。
申立の管轄
本人の住所地(原則としては住民登録をしている場所)
東京都の場合、23区と諸島は東京家庭裁判所本庁の管轄になり、その他の市町村は東京家庭裁判所立川支部の管轄になります。
申立人
本人、配偶者、四親等内の親族、成年後見人等、任意後見人、成年後見監督人等、市区町村長、検察官
※四親等内の親族とは
(1)親、祖父母、子、孫、ひ孫
(2)兄弟姉妹、甥、姪
(3)おじ、おば、いとこ
(4)配偶者の親・子・兄弟姉妹
必要書類
【裁判所所定の様式あり】
・申立書
・申立書申立事情説明書
・本人の財産目録
・本人の収支状況報告書
・後見人等候補者事情説明書
【本人の確認資料】
・本人の戸籍謄本
・本人の戸籍附票又は住民票(世帯全部、省略のないもの)
・本人の成年後見に関する登記事項証明書(登記されていないことの証明書)
・本人の診断書(裁判所で定められた成年後見用診断書)
【後見人等候補者の確認資料】
・後見人等候補者の戸籍謄本
・後見人等候補者の住民票(世帯全部、省略のないもの)
・後見人等候補者の身分証明書(市区町村長の発行するもの)
・後見人等候補者の成年後見に関する登記事項証明書(登記されていないことの証明書)
【申立人の確認資料、その他】
・申立人の戸籍謄本(後見人等候補者と同一人物の場合は不要)
・申立人の戸籍附票又は住民票(後見人等候補者と同一人物の場合は不要)
・申立人の印鑑
・申立人の預金通帳のコピー(表紙から次頁までのコピー)《本人の財産目録及び収支状況報告書を疎明するための資料》
・本人のすべての不動産の不動産登記簿謄本(法務局の発行するもの)
・本人のすべての預貯金通帳や証書の表紙から記帳されている全頁のコピー(最新の日付で記帳した通帳)
・本人のすべての有価証券(株,債権,保険及び投資信託)の残高証明書や通知書のコピー
・本人の負債を疎明する資料のコピー(金銭消費貸借書、負債の返済計画や残高を疎明する書面、本人と申立人又は候補者との間で債権債務がある場合にはその内容を疎明する資料(領収書等))
・本人のすべての収入を疎明する通知書のコピー(恩給、年金、福祉手当、高額医療費助成金、家賃や地代収入、源泉徴収票、確定申告書(付属資料を含む))
・本人の支出を疎明する領収書や通知書のコピー(施設費、医療費、住民税、固定資産税等、年金保険料、健康保険料、介護保険料、家賃(契約書))
【本人の健康状態に関する資料】
・介護保険認定書、療育手帳(愛の手帳)、精神障害者保健福祉手帳,身体障害者手帳などのコピー
【本人を相続人とする遺産分割が予定されている場合の疎明資料】
・本人が相続人となっている遺産目録のコピー
・遺産分割協議書(案)のコピー《本人の状況に関する資料》
【候補者の状況に関する資料】
・候補者の収入を証する資料(源泉徴収票、確定申告書又は年金通知書)のコピー
手数料等
収入印紙(①申立手数料800円、②登記手数料2600円)、郵便切手(裁判所によって異なります)、その他鑑定費用