遺言書と遺書の違い
「遺言書」は、法定の厳格な要件を備えた法律的に効力をもつ文書(英語で「will」)です。法律的に効力を持つとは、つまり、法律上の財産権や身分権に直接影響を及ぼす文書と言うことができるでしょう。従って、確かに遺言者本人が書いたものだと立証されても、所定の要件を満たしていなければ法律的には無効になります。
一方「遺書」は、法律的な効力を元々求められていないので、所定の様式は無く、亡くなる前に自分の気持ちなどを家族・友人に書き記したもの(英語では「note」や「letter」に相当)です。
「遺書」の具体例として分かりやすいのは、自殺する人が書き残した手紙です。
法律上重要な「遺言書」ですが、故人の遺志をきちんと表明して、相続人全員が極力遺言に納得できるように書く遺言者が素晴らしい遺言書といえます。したがって、公正証書遺言の中で「付言(ふげん)事項」を設けて、法律的な部分以外の遺志を記載したり、公正証書遺言に加えて、別途遺書的な手紙を相続人宛に残しておくのも有効だと思います。