任意後見の終了 【任意後見】
任意後見契約は、以下の事由の発生によって終了します。
1. 任意後見人の解任
任意後見人に不正行為、著しい非行跡、その他任意後見人としてふさわしくない事由があるときは、家庭裁判所は、任意後見人を解任することができます。任意後見人が解任されると、任意後見契約は自動的に終了します。
2. 任意後見契約の解除
任意後見契約も一般に委任契約と同様に解除することができますが、特別の規定があります。任意後見の開始(任意後見監督人の選任)前は、いつでも公証人の認証ある書面によって解除することができます。公証人の認証を要求するのは、本人の意思確認のためと契約の締結が公正証書によることとのバランスをとるためです。これに対し、任意後見が開始された(任意後見監督人が選任された)後は、正当な事由がある場合にのみ家庭裁判所の許可をもって解除することができます。
任意後見人の債務不履行等で本人の側から解除する場合にも、同様です。
3. 民法上の委任の終了事由
任意後見契約も委任契約の一種ですから、民法が定める委任の終了事由によって終了します。
委任の終了事由は、①本人の死亡、破産 ②任意後見人の死亡、破産 ③任意人後見人が後見開始の審判を受けたとき、になります。
上記事由により任意後見契約が終了した場合、家庭裁判所が後任の任意後見人を選任することはありません。任意後見の制度は、あくまで本人の意思を尊重して、本人が希望する後見人を選ぶ制度ですから、裁判所が任意後見人の選任に関与することはできません。引き続き本人への援助が必要な場合には、法定後見人選任の申立手続をとることになります。