補助開始の効果 【法定後見】
同意権・取消権
補助の対象者は、比較的高い判断能力を有しているので、家庭裁判所が「特定の法律行為」について補助人の同意を得なければならないことを定めることができます(「同意権の付与の審判」)。
これは、申立ての範囲内において、裁判所が必要性を判断して決定します。この審判をするには、本人の同意が必要です。
同意を要することとできる事項は「保佐」における基本的な要同意事項の一部に限られます。したがって、「日常生活に関する行為」は除かれることになります。
身分行為(婚姻、認知、嫡出認否等)等の一身専属的な行為は、同意権の対象とならず、遺言についても除外されます。
なお、「同意権の付与」は、必要に応じて、追加することも、取消すこともできます。
補助人の同意を要することとされた事項について本人が補助人の同意なく行った場合には、本人や補助人はこれを取消すことができます。
なお、補助人が本人の利益を害するおそれがないのに同意しない場合には、本人は、家庭裁判所に同意に代わる許可も求めることができます。
追認権(取り消すことのできる行為を取り消さずに後から承認した場合)
取り消すことのできる行為を取り消さずに後から承認(追認)することも可能です。
追認したときは、初めから有効であったものとみなされるため、一度追認してしまうともう取り消すことはできませんので、注意が必要です。
代理権
補助人には、本人に代わって一定の法律行為をする代理権はないのが原則ですが、家庭裁判所は、補助人に「特定の法律行為」について代理権を付与することもできます(代理権付与の審判)。この審判も、申立ての範囲内で、裁判所が必要性を判断して決定します。また代理権の付与は、本人の同意が必要です。代理権の付与については、「保佐」の要同意事項の範囲内という制限はなく、「保佐」における代理権と同様に財産の管理処分に関する行為のほか、保健や介護に関する行為などについても代理権を付与できます。
なお、婚姻、認知、嫡出認否等の身分行為や、医療同意等の一身専属的な行為は、代理権の対象とならず、遺言についても除外されます。