遺産分割調停・審判

相続に関する法律問題

相続人間で遺産分割の協議が調わないとき又は協議をすることができないときは、家庭裁判所に申立てをして、調停又は審判による解決を求めることができます。
家庭裁判所による遺産分割には、「調停」と「審判」があり、いずれを申立てても構いませんが、通常、調停を申立てるケースがほとんどといわれています。
また、審判を申立てた場合であっても、家庭裁判所は、職権で調停に付すことがあります。

遺産分割調停申立て手続き

調停は、相続人間と家事審判官(裁判官)と家事調停委員が間に入って、話し合いがまとまるよう、それぞれの主張を聴取した上で納得できる解決策を見出していくというものですから、調停がまとまるか否かは当事者次第です。当事者全員が納得して調停がまとまると、その合意内容を記載した調停調書が作成されます。
この調停調書は裁判の判決と同様の効力をもっているため、調停調書に記載されている通りに遺産分割をしなければいけません。

●申立人
共同相続人、包括受遺者、相続分譲受人
●管轄
 相手方の住所地または当事者が合意で定める家庭裁判所
●手数料等
 被相続人1人につき収入印紙1200円と郵便切手(裁判所によって異なります)
●必要書類
 相続人全員の戸籍謄本・住民票、被相続人の除籍謄本、及び出生まで遡った戸籍謄本一式、相続関係図、遺産目録、不動産登記簿謄本・固定資産評価証明書(遺産に不動産がある場合)

調停で合意ができず調停が不成立となった場合には、審判の申立てがあったものとみなされ、当然に審判手続に移行されますので、あらためて家庭裁判所に審判の申立書を提出する必要はありません。

遺産分割審判申立て手続き

当事者同士の任意の話し合に調停委員会が参加し、お互いが納得できる解決策を探す調停による遺産分割とはまったく異なり、家事審判官が職権で事実の調査および証拠調べを行い、当事者の希望なども考慮のうえで、分割の審判を下します。
当事者が裁判官の決めた遺産分割に納得できない場合は、告知を受けた日から2週間以内に高等裁判所に異議を申立て、即時抗告の手続を行います。即時抗告の手続が行われると、次は高等裁判所で裁判という形で争うこととなります。

●申立人
 共同相続人、包括受遺者、相続分譲受人
●管轄
 相続開始地すなわち被相続人の最後の住所地の家庭裁判所
 但し、調停の不成立によって審判に移行する場合は、通常、調停をしていた家庭裁判所が審判手続きを受けています。
●手数料等
 被相続人1人につき収入印紙1200円と郵便切手(裁判所によって異なります)
●必要書類
 相続人全員の戸籍謄本・住民票、被相続人の除籍謄本、及び出生まで遡った戸籍謄本一式、相続関係図、遺産目録、不動産登記簿謄本・固定資産評価証明書(遺産に不動産がある場合)

遺産分割の実行

家庭裁判所の調停又は審判に基づいて遺産分割が決定し、調停調書又は審判書(この場合は確定証明書付き)の謄本に基づいて、相続登記や預貯金の名義変更等を行うことになります。この調停調書又は審判書は裁判の判決と同様の効力をもっていますので、記載されている通りに遺産分割をしなければいけません。

相続に関する法律問題について司法書士・宮田浩志からのメッセージ

司法書士・宮田浩志からのメッセージ
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8月 14, 2020